第206章隠された動機

夕暮れはあっという間に訪れた。カスピアンから電話を受けるや、グレースは胸の高鳴りを隠しきれず、職場を飛び出すようにして出ていった。足取りの一歩一歩に浮き立つ気配がにじんでいる。

ビルを出ると、入口に目立つように停められた、ひときわ目を引くスポーツカーが視界に入った。カスピアンだ。いつもの革ジャン姿でドア脇に立って待っている。グレースを見つけると、彼はくわえていた煙草をもみ消し、背筋を正した。そして流れるような動きで助手席のドアを開ける。

彼は微笑み、紳士然とした所作で手を差し出した。

その仕草に気づいたグレースは、控えめな笑みを浮かべて一歩近づき、彼の手に自分の手を重ねようとする。だがカ...

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